新規事業が立ち上がらない原因を、組織と資本配分から考える


アイデアはある。市場調査も行った。実証実験では一定の評価を得た。それでも、事業として立ち上がらない。
このとき、顧客ニーズや収益性の仮説を見直すことは欠かせません。それと同時に、会社の中に事業を育てるための条件があるかを確認する必要があります。
新規事業の担当者がいても、時間、予算、権限、販売・提供の体制が揃っていなければ、事業化は進みません。構想を実際の顧客への提供へつなぐには、組織と資本配分の設計が必要です。
「担当者を置いた」と「資源を配分した」は違う
新規事業を担当する社員が、既存顧客の対応も担っているとします。評価の中心が既存事業の売上であれば、新規事業より目の前の案件を優先するのは自然な行動です。
この状態で新規事業への熱意だけを求めても、問題は解決しません。
担当者が週にどれだけの時間を使えるか。営業や技術の専門家をいつ確保できるか。経営者はどれだけの頻度で判断するか。予算とともに、時間と能力を配分する必要があります。
VURAは、資本配分を、資金、人材、技術、知識、ネットワークをどの未来へ向けるかという経営判断として考えています。
新規事業が止まる四つの構造
1.検証段階なのに、成熟事業の利益を求める
顧客が対価を払うかも確認できていない段階で、既存事業と同じ利益率を求めると、必要な探索が進みません。
一方で、「まだ新規事業だから」と期限なく赤字を許容するのも問題です。段階に応じて、顧客課題の確認、有償利用、継続利用、採算性など、確かめるべきことを決めます。
2.意思決定が細分化されている
顧客との試行を始めるために、複数部門の承認が必要になる。担当者は責任を持つが、価格や契約条件を決められない。こうした状態では、市場から学ぶまでに時間がかかります。
安全、法務、品質の必要条件を明確にしたうえで、責任者が判断できる範囲を設定します。例外や重要案件については、誰がいつ判断するかを決めておきます。
3.検証する技術と、検証する事業が混ざっている
技術が動くことと、顧客が買うことは別の確認事項です。
実証実験を始める前に、何を検証するかを定めます。顧客の誰が予算を持つのか、どの課題なら費用を払うのか、提供後にどの成果を求めるのか。技術面と事業面の仮説を区別すると、次の判断に必要な証拠が見えます。
4.販売と提供の仕組みがない
サービスができても、見込み顧客を探し、契約し、導入し、継続利用を支える仕組みがなければ、事業は育ちません。
新規事業の責任者には、企画から営業、提供、運用までをつなぐ役割が必要です。すべてを一人で行うという意味ではありません。必要な専門家を組み合わせ、顧客への責任を一貫して持つ体制をつくるということです。
段階ごとに、次の投資を判断する
新規事業では、最初から大きな計画を確定させるよりも、仮説と検証結果を対応させることが重要です。
段階 | 主に確認すること | 次の投資判断に使う材料 |
顧客課題の確認 | 誰が、何に困っているか | 顧客の行動、既存の支出、購入の意思決定 |
提供価値の検証 | 提案した価値に対価を払うか | 有償試行、利用状況、顧客の評価 |
事業性の検証 | 継続して提供し、採算を確保できるか | 継続・再購入、提供費用、粗利益 |
拡大の検証 | 顧客と供給能力を増やせるか | 販売の再現性、品質、必要な運転資金 |
必要な期間や基準は、業種と事業によって異なります。各段階で、責任者、予算、期限、継続・変更・終了の条件を定めます。
新しい事業に合わせて、企業の仕組みも更新する
新しいサービスを始めても、評価制度、予算編成、営業の優先順位が既存事業のままであれば、新規事業は社内で後回しになりがちです。
VURAの「企業再定義」では、新規事業をBusinessだけの問題として扱わず、Organization、Capital、Leadershipとのつながりを確認します。さらに、その事業を育てる理由をPurposeと結びつけます。
何のために始めるのか。誰が実行するのか。何を配分するのか。何を確かめたら次へ進むのか。これらが揃って初めて、経営の意思が事業を育てる行動になります。
自社の新規事業を振り返る
まず、次の四つを確認してみてください。
担当者の時間は、実際に確保されているか。
次の段階へ進む条件は、明確か。
価格、予算、体制を決める権限は、誰にあるか。
顧客獲得から提供・継続利用まで、責任がつながっているか。
VURAの取締役・CEO向けの取り組みでは、経営参画と企業変革の考え方をご紹介しています。
新会社・新規事業の立ち上げや実行体制については、こちらからご相談いただけます。




コメント